個人的評価 | |
クリア時間 | 2.1時間 |
プレイ時間 | 2.1時間 |
発売日 | 2017年4月25日 |
対応機種 | Steam PS4 Xbox One Nintendo Switch PS5 Xbox Series X/S |
プレイ機種 | Steam |
開発元 | Giant Sparrow |
発売元 | Annapurna Interactive |
個人的ジャンル | 体験型アトラクション映画 |
ゲームの特徴
ワシントン州のとある一族に関する奇妙な物語をゲーム操作を交えながら体験していくといったゲーム。プレイヤーは一族の血を引くエディスとして、フィンチ家の風変わりな屋敷を舞台に家族の軌跡を辿るといった内容。
アイテムを集めるとか謎解きがあるといったゲーム要素はなく、入り組んだ迷路のような屋敷を淡々と探索しながら、フィンチ家の家族、それぞれの命が尽きた日を体験していく。
ゲームプレイの方は一人称視点になっており、ドアを開ける動作や、手帳を開ける動作一つに対してもボタン1つの操作ではなく、ノブをひねる操作や手帳のページを開くといった動作まで操作が必要。
そのぶん、細かい操作と共に、実際に屋敷の中を思い出と共に探索している感があるので、体験型のアトラクションみたいな感覚もあった。
屋敷の探索を行うのは主人公のみとなっているが、各所で過去の回想シーンになり、家族の命が尽きた日をゲームプレイを交えて体験していく。その際には操作キャラが変わり、大きく操作性が変わる場面もある。操作自体にゲーム性は感じないが、ブランコを漕いでみたり水の中を泳いでみたりと、家族の最後の日への没入度は映画以上だったと思う。
家族の部屋の当時の生活を思わせる物の数々や、探索中に自然に入り込んでくるテキスト、夢なのか現実なのか曖昧になる表現など、ゲーム性はないものの、フィンチ家という奇妙で、どこか温かい家族の物語を自然と体験できた。
迷子になる部分は無く、2時間ほどでクリアできると思う。まさに、体験型アトラクションや体験型の映画といった作品。
おすすめポイント | こんな人は苦手かも。。 |
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作りに作り込まれた世界観
本作だが、序盤は主人公が久しぶりに自分が住んでいたフィンチ家の屋敷を訪れるところからスタートする。その際に、印象的だったのはテキストの表示だ。屋敷までの道を進む途中でボイスと共に自然にテキストの表示がされる。
ゲームや映画であれば通常だと画面の下側にテキストが表示されると思うのだが、このゲームでは、話の流れに関連した場所にテキストが配置される感じだったと思う。屋敷に入るまでの道の場合は、しばらく屋敷に戻っていないことを、開いていないゲートの上にテキストを表示することによって、より伝わってくる感じがした。
肝心な屋敷の中へ入ると、物の多さに少し驚いた。というか、物が多いわりにゲームによくある不自然な物の配置がなく、しっかりと人の生活感を感じられるものだった。
キッチンのテーブルの上にある魚の缶詰が多いのは、違和感があるかもしれないが、実はこの魚の缶詰が多いのもしっかりと理由がある。よく部屋をみると家族の写真があったり、他の家族の部屋をみると、それぞれその人物を象徴するような物がたくさん置いてあり、ゲーム本編を進めて物語を体験していく他にも部屋の物を見ながら、その部屋に住んでいた家族の事を想像したり、他の家族との繋がりを感じさせられる事もあり、部屋の物を見て妄想を膨らますといった味わい深いコアな楽しみ方も出来そうだった。
フィンチ家の屋敷だが、一般家庭にはみられない構造の複雑さもあり、物が多いわりに何故だかおしゃれに見えてしまう部屋の数々、その物についても住んでいた人の生活感やこだわりを感じられる。屋敷の探索は、先に何があるのか?どんな家族だったのか探求心をそそる物があった。
肝心なゲームの操作だが、走るといった動作は基本的になく、とぼとぼ歩く動作がほとんどだったと思う。初めは早くゲームを進めたいところもあったので、もどかしい部分ではあったが、動作と共に主人公の経緯がボイスと画面に巧妙に表示されるテキストの数々があり、物語に没頭することが多かったため徐々に足が遅いのは気にならなくなっていた。
そもそも、何か目標がありクリアを目指すものではなく、主人公を操作して物語を堪能する作品だと思う。これは、ゲームというジャンルに入るのか自分でもわからなくなってきたが、コントローラーでの操作があるためゲームなのか?
ちなみに、調べてみたところウォーキングシミュレーターをいうゲームジャンルが存在するらしく、おそらくそれに当てはまる。一人称視点用いており、現実に近い歩行速度になるように操作キャラクターのスピードを合わせ、プレイヤーの体験に焦点を合わせたジャンルのようだ。
アクションや謎解きもなく、何かステタースが上がったり、インベントリにアイテムが集まることも無い。ただただ、歩く、そして物語を体験をしていくそんなゲームジャンルだ。本作もこれに当たる。
ちなみに、物語の内容はフィンチ家の家族、それぞれ一人一人の最後を体験していくのだが、その体験をした後に、家系図的な物を手帳に書くシーンがあり、家族構成や歴史についてもある程度わかりやすかった。また、その演出もゲームでよくあるお知らせ的な表示もなく、自然なため、物語の雰囲気を壊すことも無かった。
体験型アトラクションのようなゲームでもある
操作は歩く以外に、ドアを開けるや手帳を開く動作等があるのだが、ボタン一つで終わったりしない。わざわざドアノブを回す操作が必要だったり手帳一つについてもページをめくる操作が必要になる。
じれったい部分でもあるのだが、主人公が家族との生活を振り返りながら屋敷を探訪する上で大事なところでもあると感じた。ゲームとしては不便で余計な操作と感じるかもしれないが、リアリティーがあり、物語に没入できた部分でもある。
また、それぞれの家族について、その人物の日記を開くと回想シーンになり、最後の日を操作を交えて体験していくのだが、その際の操作も独特なものがある。ブランコを漕ぐ場面が印象的だったのだが、あの言葉にできないブランコの漕ぐ感覚を操作と風の切る音と共に体験できる。
他の回想シーンでは、水の中を泳いでみたり、漫画の一コマの中での操作があったりと、現実なのか?その家族の妄想なのか?変な気分になるような操作と体験があった。あの感じをうまく表現できないのだが、体験型のアトラクションみたいな感覚だったと思う。
テキストの表示スペースも入念に調整された感じがした。時々、次に行く方向がわからなくなることがあるのだが、廊下を歩いているだけでも時々ボイスと共にテキストが壁などに浮かび上がり、物語を語りながらも次に進む方向へと誘導される。
場所によっては、テキストの形が変形し、次に進むべき場所へテキストが飛んで行ったりもする。通常のゲームだと矢印等のわかりやすいものだが、物語を語りつつテキストで行き先を自然に誘導されるので、ストーリーの雰囲気が失われることがなく、操作を交えた映画と言ってもいいかもしれない。
プレイ時間は短めだが、体験価値は大きいと思う
本作だが、2時間程度でエンディングを迎え、僕個人としては2週目をすぐにプレイしようとは思わなかった。ゲームをクリアした、という達成感もなかったわけだが、休日にじっくり映画を見たといった感想に近い。
操作はあるものの、ただただ、フィンチ家に起きた出来事を体験していくといった内容。しかし、その中での家族の繋がりや、それぞれの人生を追体験できた。短い人生も長い人生もあったが、それぞれに個性があったり、思いがあったりした。
老略男女それぞれのストーリーがあるため、自分と重ね合わせて感慨深くなる場面もあると思う。そういった意味で、体験価値は高いと思うし、今後の自身の人生の糧になる部分も出てくる人は出てくるかもしれない。
感想まとめ
本作だが、ゲーム性はほぼ無く、人によってはゲームではないというかもしれない。しかし、ちゃんと操作があり、その操作を通して物語に入り込んでいく感覚は好きな人は好きだと思う。
ゲームによる、レベルが上がる、アイテムが集まる、プレイスキルが溜まるといった物を求める方はこのゲームをプレイすると絶句してしまうかもしれない。しかし、人によっては、この奇妙で不運だけど、どこか温かさもある家族の軌跡を体験し、何か感じたり、今後の人生での生き方に影響がある場合もあるだろう。
ちなみに私は、隙間時間に細切れでプレイしてしまったため、物語への没入度は落ちてしまっていたと思う。これからプレイしようと思っている方へは、ちゃんと2~3時間まとまった時間を取れるときに一気にプレイすることを強くお勧めする。