個人的評価 | |
クリア時間 | 2.6時間 |
プレイ時間 | 2.6時間 |
発売日 | 2023年2月15日 |
対応機種 | Switch,Steam |
プレイ機種 | Steam |
開発元 | Casus Ludi |
発売元 | Gearbox Publishing |
個人的ジャンル | Co-op型アドベンチャー癒しゲー |
ゲームの特徴
「BLANC 白き旅」は、美しいモノクロの世界を舞台に、オオカミと鹿のキャラクターを使って謎を解き進む探索型ゲーム。アート性が高く、2匹のキャラクターを同時に操作するという独特な体験が特徴で、プレイヤーに新鮮な印象と癒しを提供する。
協力プレイに対応しているため、2人で独特な雪景色を楽しみながらのプレイも良さそうだ。
一見、仲の悪そうな2匹だが、協力して物語を紡いでいき、言葉にはできない動物たちの友情も感じられるだろう。
おすすめポイント | こんな人は苦手かも。。 |
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目次
美しきモノクロームの世界と音楽の旅
鉛筆画から飛び出したような絵本の住人たち
「BLANC 白き旅」は、手に取るようなリアルな鉛筆画の世界が展開される一風変わったゲームだ。どこを切り取っても絵になる美しさが一番の魅力と言っていいと思う。
主役を担うのは、まだ成長途中のオオカミと鹿の二匹。その子供らしい無邪気さと好奇心が、プレイヤーにアドベンチャーゲームとしての刺激と期待感を予感させる。初めは互いに反りが合わないように見えるこの二匹が、見知らぬ雪景色の街や広大な雪原を通り抜ける中で、共に困難を乗り越え、互いに助け合っていく様子は、なんだか胸を打つものがある。彼らの旅路は、それはまるで成長の物語、深淵なる友情の証であり、その絆に触れることはプレイヤーにとって貴重な経験となるだろう。
自然の音と繊細なピアノが紡ぐ物語
音声やテキストでの会話シーンは一切ない。ただただ、動物たちの仕草によって物語を紡いでいく。さすがに操作方法はテキストでの説明はあるのだが、ナレーションすらないので、彼らの目的は彼ら動物の動きでなんとなく感じるといった形。
基本的には、無音に近い静けさが広がる。雪を踏みしめる音や風の音、そして遠吠えなど、自然の生々しさが伝わってくる仕上がりだ。
しかし、ステージを進むごとに澄んだピアノの音が流れ、心を打つ物語を紡ぎ出す。この緩急で度々、モノクロのグラフィックと自然の美しさや2匹の絆などが押し寄せてきて鳥肌が立っていた。
特に、雪原を滑り降りる場面では、二匹の疾走感とピアノのBGM、そして雪の表現が見事に融合しており、視覚と聴覚とゲーム操作が相まって、感動が押し寄せてきた。個人的にかなり好きなシーン
ゲームのアート性と細部へのこだわり
このゲームでは、雪に残る足跡や風の描写から木の表面の細やかなディテールまで、アート性とリアリティが共存している。さらに、全てがモノクロのグラフィックで描かれており、色彩の制約が逆に独自の風味と洗練さを醸し出していた。これはカラフルな色彩では決して表現できない、素朴ながらも深みのあるアート性を感じさせてくれるものだ。「BLANC 白き旅」は、まさにアートとゲームが見事に融合した一作と言えるだろう。
他のゲームにはない、このゲーム独自のグラフィックは、どのシーンを見ても高度なアート性を醸し出している。通常のゲームでスクリーンショットを取ると、場合によっては滑稽に見えることもある。洗練されたイメージを捉えることは難しいのだ。しかし、「BLANC 白き旅」では、そのどのシーンを切り取っても、その美しさはまるで美術館で展示される一枚の芸術作品のよう。スクリーンショット一つとっても美術品のような洗練を誇る。このような高い芸術性を持つゲームは、まさに希有な存在と言えるだろう。
アートと触れ合う冒険。サクッと楽しむ探索ゲームの魅力
ユニークな操作体験と個性的な主役たち
「BLANC 白き旅」は探索と謎解きに重きを置くアドベンチャーゲーム。主役のオオカミと鹿、この二匹はアクションに違いがあり向き不向きがある。オオカミは狭い空間に侵入できるものの、ジャンプ力には欠ける。一方、鹿は高く跳ぶことが可能だが、狭い場所には入ることができない。これらの特性を理解し、2匹で協力しながらステージ上のギミックを解いて進んでいく。
分岐のない一本道の進行なので、ルート選択でのゲーム性もない。とにかく進んで、2匹でギミックを解いていき次のステージへ進む。そんなゲームだ。そのためか、考えることも少なくサクサク進める事ができた。
ゲームの操作は独特で、一人でプレイする場合、二匹の動物を同時に操作する。コントローラーの右と左がそれぞれの動物に対応しているのだ。このユニークな操作性は慣れるまでに時間がかかるどころか、最後まで操作がおぼつかなかった。両手に箸を持ち、食事をするようなイメージを想像して頂きたい。この操作感は好みが別れる部分かと思うが、他のゲームにはない奇妙な感覚が心地よく違和感さえも新鮮だった。
また、操作の不慣れさが二匹の自由奔放さを演出し、それはなんとも風変わりな体験をもたらす。コントロール下にあるはずの動物が、予期しない方向に進むのは、まるで彼らの意志が生き生きと表現されているかのようだった。
ゲームを進めたい状況下での、動物の自由奔放さがストレスになる場面もあるが、逆に可愛さを感じることもあった。
協力プレイと美麗な景観の魅力
協力プレイも対応しており、2人でそれぞれの動物を操作して楽しむこともできる。この場合、動物の自由奔放さは減ってしまうかもしれないが、雪景色を楽しみながら2人でギミックを解いていく楽しみもありそうだ。
本作は、進んでいくルート選択、キャラのステタース配分、装備選択などが無いゲームだ。プレイヤーの個性を出しずらい面は大いにある。このゲームを2人でプレイする場合は、やはりこのゲームの世界観に触れながら鉛筆で書いたようなアート性の高いグラフィックを楽しむのが醍醐味だと思う。
一息に満ちたアートの断片
ギミックの解除や探索はシンプルな物が多く、頭を悩ませる時間は少なかった。さくさく進める部類に入ると思うのだが、ゲームプレイ中でも美しくアート性の高い映像が繰り広げられるため、スクショする時間が多かった作品。
プレイ時間は短めで、セクションも区切りも短い。そのため、15分だけ少しずつプレイするなど、ちょっとした休憩でもプレイ可能だ。思ったように動かせない操作性の悪さはあるが、忙しない日常の中で、ひと時の静かな時間をとるためのコンテンツとしても活躍できるだろう。
感想まとめ
「BLANC 白き旅」は、その美しいモノクロのグラフィックと洗練されたアート性が特徴的なゲーム。細部にわたる描写、雪景色のリアリティ、そしてその全てを一貫して覆う美術的なアプローチは、スクリーンショットを撮るたびに一枚の芸術作品を見るような感動を与える。
基本的に、BGMも無く、雪の踏みしめる音や風の音が聞こえて、リアリティーのある静かな自然を感じることができる。また、時折流れるピアノのBGMによって物語のドラマチックさが演出されるシーンもあり、この緩急により言葉にできない感動があったりもした。
ゲームのプレイ体験はシンプルで、主人公であるオオカミと鹿の特性を活用してギミックを解きながら進行する探索ゲーム。これらのキャラクターは、互いに異なる特性を持っており、その特性を活かすことでギミックを解いていくというのが基本的なゲームの流れ。複雑な選択や戦略は必要なく、ゲーム的な要素は少ない。
2匹のキャラクターを同時に操作するという独特な操作で、慣れるまでには時間がかかるどころか、最後まで操作がおぼつかなかった。それが逆に動物の自由奔放さを演出し、ゲームに新鮮な体験をもたらす。また、このゲームは協力プレイにも対応しており、美麗な景観を共有しながら二人でゲームを楽しむこともできるだろう。
ゲームのアート性の高さは、プレイするだけでなく、その美しいシーンを写真に撮るような感覚を与え、一時的な休息としての役割も果たす。プレイ時間は短めで、セクションごとに区切られているため、忙しい日常の中でも手軽にプレイすることができる。落ち着いた雰囲気と動物の癒しは、一日の終わりの休息として活躍できるだろう。
全体として、「BLANC 白き旅」は、その美しさと独特の操作感、そして深い芸術性によって、プレイヤーに新鮮な体験を提供する一方、癒やしとリラクゼーションの時間も提供する、独特な魅力を持つゲームと言える。