★3 並もしくは特徴あり ゲームレビュー

SIGNALIS(シグナーリス) レビュー 断片的なストーリーが特徴的!クラシックサバイバルホラー

ちゃんぬだるく

Twitchにてゲーム配信をしています。同じゲームをずっとやるよりか、いろんなゲームを一通りクリアしていくのが好きです。

個人的評価
クリア時間9.9時間
プレイ時間18.6時間
発売日2022年10月27日
対応機種Switch,PS4,Xbox One,Steam
プレイ機種Steam
開発元rose-engine
発売元Humble Games, PLAYISM
個人的ジャンル意味深2Dクラシックサバイバルホラー


ゲームの特徴

「SIGNALIS」は心理的恐怖を巧みに描くサイバーパンクホラーゲーム。謎めいたストーリー、断片的な情報、物資の枯渇からくる生存の恐怖、そして特徴的な要素として、周波数から信号を受信できるラジオチューナーというアイテムがある。このアイテムを駆使した探索・謎解きが醸し出す独特の雰囲気は、唯一無二だ。
クラシックサバイバルホラーを彷彿とさせるアクション性とゲーム性のバランスは素晴らしかった。主人公はロボットの技術者であり、彼女が失踪した同僚の捜索という壮大な物語を通じて、未知の恐怖と直面しながら真実を探求していく。この謎めいた世界で何が起こったのか、その解明は手に入れた断片的な資料を参考にプレイヤー自身で考察しなければならない。

おすすめポイントこんな人は苦手かも。。
  • 心理的恐怖感を味わえる
  • クラシックサバイバルホラー要素
  • 2週目からのじっくり考察
  • 資料を読んだり考察するのが苦手
  • 心理的な恐怖は苦手


断片的で夢幻的な物語の探求

「SIGNALIS」はRose Engineという小さなインディースタジオによって開発された作品。このスタジオは2人のクリエイター、Dajana DimovskaとAleksander Kauchによって設立。それぞれが異なるプロジェクトで働いてたそうだが、共通のビジョンを共有していたため、共同で新しいゲームを作ることを決定。プレイヤーが物語を体験し、感情的につながり、その緊張感や不安感を感じることができる作品を目指して作っていたそうだ。

レビューを調べたところ、「SIGNALIS」は、心理的なサイバーパンクホラーとして評価されいる。ロボットの技術者である主人公エルスターを操作し、彼女の失踪した同僚を探し求める壮大な物語が繰り広げられるのだが、よくあるゾンビ系のホラーゲームではないことを初めに言っておこう。
サバイバルホラーのジャンルに当てはまると思うが、ゾンビゲームのような恐怖でない。謎の星の謎の宇宙船?を探索し、そこで起こった事をプレイヤー自信が、周りの状況や手に入る資料から考察する。その中で、理解しずらい何か奇妙なことが起こっていた痕跡を目の当たりにしたり、今後なにか起こる?みたいな恐怖だ。

ちゃんぬ
主人公のエルスター。会話するようなシーンはほぼ無かったような気がする。無口なタイプ

このゲームの物語や内容は非常にわかりずらい。イベントや落ちている資料を見ても理解が難しかったり、何かの伏線っぽい事が書いてあるばかりで理解に苦しむ場面が多かった。
だが、施設で働いていたレプリカ(アンドロイド)について、それぞれにどんな機能や個性があるのかの細かな記載が書かれた資料がある。探索を進めているとたまに見つけるのだが、その資料に記載されていることを読み、レプリカについて自分なりに考察していく楽しさがあった。個性が際立ったキャラが多かったため、一種の愛着のようなものも沸いていた。
未知なる恐怖や、何がどうなっているのか気になった部分もあるが、このレプリカの個性や背景の考察があったため、エンディングまでプレイのモチベーションは下がらなかった。

ちゃんぬ
ちょいちょい、レプリカ(アンドロイド)の資料やポスターがある。それぞれの個性や背景を少しづつ知りながら考察していくのが楽しい。

ゲームを進めていると、突如場面が変わり、一人称視点に切り替わることがある。このイベントについても一切説明がなく、今思うとあのイベントは操作キャラが見えないため主人公を操作していたわけではなく、別の主要キャラでの重要な場面だったかもしれない。この物語は断片的で夢幻的であり、不思議な怖さがある。

探索を進めていると唐突に、知らない場所から一人称視点になった。さっぱり意味はわからないが、2週目からはきっと理解できるはず。たぶん。。
ちゃんぬ

具体的なストーリーの詳細や展開については、プレイヤーが自分自身で体験し、解釈することが重要なゲームだと言える。そのため、レビューや解説は見ずにクリア後のお楽しみとして取っておくのがお勧めだ。

失踪した同僚を探すというシンプルなストーリーだが、ゲームプレイ全体を通じて謎が多い。登場するキャラクターの背景やそれぞれの目的や特徴、不確実性、そしてサイバーパンクの雰囲気が融合して、プレイヤーに強烈な印象を残すストーリーが織りなされている。

レトロな視覚と音響表現の洗練

素朴なクラシックサバイバルホラーなゲーム性

「SIGNALIS」は古典的なサバイバルホラーを適切に再現していると感じた。以前レビューしたバイオハザードHDリマスターのような、物資の枯渇からの恐怖。持ち物の制限があるなかでの探索や、危険地帯への往復からも緊迫感を感じられる。

 

上記レビューと似通った内容になってしまうのだが、このような制限のある中での素朴でクラシックなサバイバルホラーというゲーム性が強い。
基本的に、探索を行いながら限りある物資を集め、なるべく節約を意識して攻略を行う。弾や回復アイテムの枯渇は致命的になりそうだと思っていたので、自分なりに節約を意識したプレイをしたが、それでも何度か弾の枯渇は経験してしまった。
しかし、枯渇した後に、敵をすり抜け、新たなエリアに到達すると物資を見つけることができたため、ゲームを積んでしまうことは無かった。クラシックなサバイバルホラーゲームとしてのゲームバランスは素晴らしかった。

物資枯渇の恐怖と操作性の悪さから来る没入感

本作では、ナイフのような弾数制限のない攻撃手段は存在しない。近距離武器は消費アイテムとして扱われ、使用する度に物資が枯渇していく。この制限は、プレイヤーに対する絶え間ない恐怖を煽り、その感覚は「バイオハザード」以上のものであると言えると思う。

銃の使用についても、独特の操作性が求められる。基本的には、銃を構え、照準を敵に合わせてから発砲するという手順が必要。特筆すべき点として、照準を一定時間敵に合わせて構え続けると、照準が徐々に小さくなり、その結果、発砲時の威力が上昇するという仕組みがある。この照準合わせの操作は独特の感覚が必要で、うまく行かずに弾を外すこともしばしばあった。この部分は、プレイヤーの間で意見が分かれる箇所だと感じた。

敵に標準を合わせ続けていると、赤い四角が小さくなっていく。標準をしっかり合わせて撃っている感があってリアル
ちゃんぬ

しかし、個人的な見解としては、緊張感あふれる探索の最中、敵との戦闘において照準が簡単に合わないという要素はリアルさを増していると感じる。このような操作性は、ゲームの雰囲気に対する没入感を高め、プレイヤーにより深い恐怖感を演出している。

革新的な探索と絶妙な難易度の謎解き

クラシックなサバイバルホラーの要素を引き継ぎつつ、独自の新鮮さを加えた謎解きが特徴である。その中でも特筆すべきは、本作独特のアイテムであるラジオチューナーだ。このアイテムは、周波数を合わせて信号を受け取るという機能を持ち、プレイヤーはそれを用いてラジオ信号を解読するし、新たな手がかりを得ることができる。
このラジオチューナーは、独特ながらもレトロなホラーゲームの雰囲気を醸し出す要素で、ゲーム全体の雰囲気と見事にマッチしている。特定の状況では戦闘にも使用されるため、プレイヤーは深い探索や戦略を求められるゲーム体験を得ることができだろう。

ちゃんぬ
本作で特徴的な要素であるラジオチューナー。謎解きや戦闘での使用もあるのだが、今でも何の信号だったのか不明な物もあるので恐怖感をそそる物でもある。

さらに、「SIGNALIS」の謎解きは、非常に巧妙に設計されていると思う。プレイヤーの進行を適切に阻害してくるパズルやパスワードの入力の数々だが、初見でサクッとクリアできたものは少ない。パっと見、意味の分からないパズルが多い印象で難易度は高いと感じた。
これは、プレイヤーが探索の過程で得た知識や手がかりを活用しなければならない。ある程度ではあるが深く考えるフェーズがあり、人によってはストレスを覚えるレベルだと思う。
パズルが難解である一方で、適切な難易度が保たれていると思う。資料を見返したりラジオチューナーを使用したりすることで、頭を悩ませながらも答えらしきものに行き着いた「発見の瞬間」があった。このプロセスは、プレイヤーが「ひらめき」を体験する快感を与え、一見意味の分からないパズルからの恐怖感もあり、プレイヤーの没入感を深める役割を果たしている。

初見では本当に意味の分からなかった謎解き。攻略サイトを見ていたらこの快感は味わえなかっただろう。
ちゃんぬ

バラバラのピースが揃っていく快感と深層探求

SIGNALISは、優雅なるホラーゲームであり、リソースの不足や敵の再出現といった恐怖感を織り交ぜながらプレイヤーを引き込む。ゲームに登場するキャラクターや状況についての説明は皆無で、ゲーム全体の状況が初めてのプレイヤーには理解しきれないよう設計されている。一見すると、その未知の状況から来る恐怖は心理的なものだ。

ちゃんぬ
何故か一人称視点で歩かされた海岸、ゾンビなどはいないがなんか怖かった

しかし、ゲームを進めていくうちに、各種の資料をメニューから見直すことが可能となり、ストーリーのつながりや解釈を行う難しさが緩和される。資料の中には文字が切れているものもあり、全てがすぐに理解できるわけではないが、それらを読み、自己の考察を重ねることで、ストーリーの一部やエンディングの意味が明らかになる。断片的なパズルのピースが組み合わさり、登場人物の目的や思考が明らかになるその過程は非常に快感だ。

ちゃんぬ
断片的な資料の数々だけど、少しづつ紐解いていくと何が起きていたかがわかってきた!

エンディングやストーリーについては、明確な答えを出すのは難しいかもしれないが、ストーリーは決して意味不明なものではない。背景設定や登場人物の個性までが資料という形で丁寧に織り込まれている。イベントやムービーシーンは短いが、それらを通じて、キャラクターの背景や目的を理解し、物語を探求する楽しさは、SIGNALISならではの体験と言える。

エンディングは複数あり、その条件は様々だが、2周目以降にしか見ることのできないエンディングも存在する。2周目以降では、謎解きやアイテムの配置がある程度頭に残っているため、ゲームをスムーズに進めることができ、ストーリーの再確認や自分なりの補完も可能。

この深層探求のゲーム性がSIGNALISの魅力であり、2周目以降のプレイも視野に入れて体験することを強く推奨する。恐怖と混乱の中で、プレイヤー自身が物語を解き明かすそのプロセスは、まさに独特の喜びと満足感を提供してくれるだろう。

感想まとめ

「SIGNALIS」は、サバイバルホラーの要素を巧みに取り入れ、独特なストーリーテリングとパズル解決の楽しさでプレイヤーを引きつけるゲームだ。その断片的でミステリアスなストーリーテリングは、プレイヤーに自身で物語を紐解いていく快感と、深い没入感を生み出す。

ゲーム性としては、物資の枯渇や持ち物の制限など、クラシックなサバイバルホラーの要素をしっかりと組み込んでいる。特に、ラジオチューナーを用いた周波数探索や、物語の手掛かりを探るパートは、プレイヤーの頭脳と直感を刺激し、ほかのホラーゲームにはない、ユニークなゲーム体験だと思う。

また、レプリカ(アンドロイド)の個性や背景に対する細やかな描写は、プレイヤーに対して深い興味を引き出すもので、キャラクターへの愛着とプレイモチベーションを維持できる。

一方、物語や内容の理解は非常に困難で、何が何だか分からない状態から自己の考察を重ねていくことが求められる。これは、一部のプレイヤーにはハードルが高いかもしれないが、未知の恐怖と混乱の中で物語を自ら解き明かすプロセスは、独特の喜びと満足感を提供してくれる。

エンディングは複数あり、2周目以降に新たな発見や解釈が可能なことも、このゲームの魅力の一つ。

このゲームは単にホラーゲームを楽しむだけでなく、物語を深く読み解く喜びを追求するプレイヤーには強くお勧めだ。独特のゲーム体験を提供する「SIGNALIS」は、確かな満足感と共に、2週目以降のプレイに価値がある作品であると言えるだろう。

-★3 並もしくは特徴あり, ゲームレビュー