★3 並もしくは特徴あり ゲームレビュー

Loop Hero レビュー 主人公を見守るという変わったゲーム性と癖になるサクサク進むRPG感

ちゃんぬだるく

Twitchにてゲーム配信をしています。同じゲームをずっとやるよりか、いろんなゲームを一通りクリアしていくのが好きです。

個人的評価
クリア時間21.7時間
プレイ時間21.7時間
発売日2021年3月4日
対応機種Steam
Xbox One
Xbox 360
Swhich
プレイ機種Steam
開発元Four Quarters
発売元Devolver Digital
個人的ジャンル主人公見守りRPG


ゲームの特徴

本作だが、グラフィックがドット絵となっており、BGMも単調ではあるが80~90年代にあったゲームのような雰囲気がある。とても懐かしさを感じられる作品である。
物も時間も記録もすべて無くなってしまった世界が舞台となっており、雰囲気としてはかなりダークだ。
ゲームシステムが独特なものとなっており、1本道を主人公がひたすら自動で周回するのを見守るものとなっている。
プレイヤーが介入できるのは、その1本道周辺の環境だ。森や山、村や墓場など、RPGでよくみる構造物を配置していく。敵との戦闘では、装備の変更しかできない。すべて自動で戦闘が行われるためプレイヤーは見守ることしかできない。
1本道を周回する主人公、周回を重ねる中で強くなっていく敵、そんな中、プレイヤーは主人公が今後、有利に戦っていけるように周りの環境を構築する役割となる。
このようなゲーム性となっているため、ゲーム体験を共有するのが非常に難しいと感じた。ゲーム画面の見た目が特徴はあるが地味なため、ゲーム配信でやろうものなら画面上で何が起きているのか初めて見た人にはさっぱりわからないと思う。物語の内容も個性あるキャラは登場しない渋いものとなっている。
エンタメ性は低いものの、プレイした人にはわかる、徐々にレベルアップしていく主人公とサクサク手に入る装備の数々、何か溜まるとか集まっていく要素は、癖になり楽しさや快感もあると思う。

おすすめポイントこんな人は苦手かも。。
  • 80~90年代のレトロゲーム感
  • サクサク上がるレベルと様々な装備
  • お手軽すぎ!コマンド選択が一切ない戦闘
  • 一風変わっているが奥深い戦略性
  • ド定番のRPGを求めている
  • 単調なBGMを聞き続けるのは嫌
  • ゲーム体験を共有したい


ノスタルジック溢れる独特な世界観

何も無くなってしまった世界が舞台となっている。物も時間も記録も無くなっている。ただ、主人公だけが何も無くなったということを覚えている状態だ。
タイトル画面からゲーム中、エンディングと徹底してドット絵と単調だがノスタルジック溢れるBGMがレトロでダークな雰囲気と世界観を作り出している。
ちなみにムービーやボイスは一切ないので、物語はしっかりとテキストを読まないと理解しずらいと思う。というか、深い部分は私も理解していないし、物語よりもゲームを進めたい一心でプレイしてしまった。これは個人的な感想だが、類に見ないゲームルールを強調するための後付けのストーリーな気がする。
現代のボイス入りゲームで慣れていて、あまりテキストを読む習慣がない人にとっては、とっつきにくいゲームだと思う。

ちゃんぬ
グラフィックはドット絵でしかも黒が基調でダークな雰囲気。BGMは単調だが、人によっては懐かしさを感じられると思う

物語としても、魔王的な強大なものと戦うような内容だが、話の内容が難しいと感じた。
”死神が無限のループへと世界を投げ入れ、命あったものは終わることのない混沌へと落ちていった。”とゲーム紹介文にあるが、王道のRPGによくある支配者を倒すといった目的は似たところがあるが、支配者にたどり着くまでの内容がかなり渋い。
まず、わいわい仲間とパティーを組むことも無ければ、拠点の村人たちもなんだか暗い雰囲気だ。キャラの個性も感じられない。

ちゃんぬ
登場人物だが、基本的に無表情。個人的にゲーム性に惚れたので問題ないが、王道RPG物語を楽しみたい人は物足りないかもっ

ただ、ボスのグラフィックが個人的に好きな部分でカッコよさを感じた。
セリフについてもボイスは無いが、私のような凡人にわからない意味深な事を言っているので続きが気になった部分でもある。
いつもストーリーの壮大で難しい話は、興味をそそる物がある。結局最後に理解したつもりで理解していないのだが。。

何か壮大な話をしているし、興味や想像をそそるセリフ。ボイスはないがボスのグラフィックかっけえ
ちゃんぬ

世界を構築しながら見守るという革新的なゲーム性

本作のゲームタイトルであるループヒーロだが、おそらくゲームの基本である1本道を主人公が歩き続けループするといった事を表現したものだと思う。
このループだが、言葉で説明するのが難しい。とにかく1本を歩き続けループするのだが、その1本道は枝分かれした道が一切ないし、新しい道を追加することもできない。
ローグライク要素として道の形は変わる物の、スタート時の1本道のまま手を加えることができないのだ。

ちゃんぬ
とにかく1本道を歩き続ける主人公を見守る。ちなみに主人公は白い人型のアイコン。

初めは、1本道と回復等を自動で行ってくれる拠点、道端に現れるスライムが居るのだが、敵を倒すと時々カードを入手することができる。そのカードを使用すると、マップ上に様々な施設や地形を配置できるようになっている。
構造物には効果があり、敵を出現させるものや、主人公のステタースを上げるもの、HPを回復したりクエストを受けられる場所を作ったりなどもできる。
このように、マップ上に様々な物を配置して主人公のレベルアップを狙ったり、クエストをこなして強めの装備を入手し、ボス戦に備えていくのが基本ルールだ。
1周回るごとに敵も強くなっていくため、主人公にはたくさん敵を倒してクエストをこなした方が有利だが、敵が出現する場所を作りすぎるとボス戦前に主人公が倒れてしまう。
また、施設や地形をある一定量設置すると、ボスが出現するというルールのため、がむしゃらにカードを使ってしまうと主人公のレベルが低かったり弱い装備のままだったりするためボス戦で倒れてしまう。
少ないループで、どう適切に主人公を仕上げていくか、ここに新しいゲーム性を感じた。

ちゃんぬ
1本道の周りにカードを使って構造物を配置していった画面。ループ毎に敵が強くなるので、1周でどう効率のいい旅ができるか考えるのが楽しかった。

画面上、何がどのような効果をもたらすか本作をプレイしていない人には一切わからなく難しいゲームに見えると思う。だが、それぞれカーソールを合わせると右に方に説明が出るためプレイやしやすかったので、そこは安心して欲しい部分だ。
範囲がある効果を持った施設や地形もあるのだが、それもカーソールを合わせると色の付いた範囲が表示されるのでわかりやすい。

施設や地形だが、特定の組み合わせや一定数マップに配置した場合、他の効果へ切り替わることがある。しかも、事前に説明はなく突如見た目が変わり効果も変わるため、色々と実験する期間があった。
説明はなく、不親切な部分ではあるが、自分なりに色々試せる時間は面白く興味深かった部分だ。一例だが、山を一定数隣接して配置すると山頂が出現し、主人公のHPが大幅UPする効果があったり、村を一定数配置すると盗賊のキャンプが出現し、通った際に盗賊と戦闘が始まったり、装備を盗まれることがある。
こういった要素があるため、施設や地形の配置について今後目的とする自分なりのプランを事前に組み立てながらマップを構成していくのは非常に面白かった。

自分なりに立てたプラン通りにマップができた。設置する施設や地形の効果を熟知してくると出来るようになると思う
ちゃんぬ

遠征中のプレイとしてはこのようなものだが、遠征前にデッキ編集という重要なものがある。
敵を倒した際に手に入るカードだが、事前にデッキ編集にて出現するカードを決められる。デッキ枚数に上限はあるが、少なくすることは可能
お気に入りのカードがある場合、出現しやすいようにデッキ枚数を減らしておくのも有効な戦略となる。このデッキ編集が、遠征中に構成していくマップを想像しながら行っていくのが個人的に楽しい場面であった。また、遠征で倒れてしまった際も、デッキのどこに欠陥があるのか、どうすれば有利にループできるのか考えるという素朴だが想像するのが面白いところ。

ちゃんぬ
このデッキ編集画面。個人的に地味に楽しい場面だった。

ちなみに、RPGでは肝心な戦闘システムだが、これもほぼ主人公を見守るしかない。できることは装備の変更のみだ。
装備は武器や防具、アクセサリー類と複数種類ある。攻撃速度が上がったり、吸血など、HPを回復できる効果が付いている装備もある。この装備の組み合わせを考える要素もあるが、マップ構成と比べると考え込むことは無く、現在装備中のものとステタースが見比べやすかったため苦労はしなかった。

ちゃんぬ
装備品のステタースは現在の装備との優劣が見やすかった。特殊効果が複数ついている場合は悩むこともあったけども

敵との戦闘画面。主人公は自動で攻撃し、攻撃手段等の指示はできない。装備の変更のみ可能
ちゃんぬ

解放されるクラスによる攻略

遠征に出ると物資が手に入り、拠点にあらたな施設が建設できる。遠征を終了すると、主人公のレベルや装備品は無くなってしまうが、拠点にある施設は無くなることがなく、唯一積み上げられるものとなっている。
この拠点だが遠征でポーションが使えるようになるなどメリットがあるのだが、特定の施設を建設すると、クラスという主人公が選べる職業的な物を開放することができる

この主人公のクラスはそれぞれ異なった特徴ある。遠征においての、相性のいい施設や地形が変わり、カード編集の際には、相性のいいカードが出るように再構成が必要になってくると思う。
例えば、ローグというクラスだが、敵を倒すとトロフィーというものが手に入り、一本道にあるキャンプで装備と交換になる。
そのため、私の場合は、いい装備を入手するために敵の数がたくさん出るような施設をメインにデッキ編集を行った。これが正解かはわからないが、クラスが増えることによって、デッキ編集で悩むことになる。
マップの施設や地形も条件を満たせば解放されるものもあり、ゲームを進めていくと新たなマップ構成を想像したり、クラスとの相性を考えたりと楽しみがある。

初めの方では、主人公のレベルが上がったり、次々に入手できる装備で何か溜まっていく感が気持ちよく、深く考えずにプレイしてしまっていたが、クラスの解放と共にステージも難しいものになり、ボスを倒せなかったり、ボス戦以前で倒れてしまう事も多くなり、このゲームをプレイしない時期が続いていた。

久しぶりにこのゲームをプレイした際には、クラスの特徴や遠征での主人公のステタース値がどのように上がっていくか観察し先へ進むことができた。難しくなってくると、どうしても絵やBGMが単調なため飽きがくる時期があるが、マップや主人公のステタース値を注意深く観察し、自分の考えたプランがうまく行った際の喜びは他のゲームとは違った特別感があったと思う。

ちゃんぬ
拠点に特定の施設を建設すると解放されるクラス。攻略の幅が広がり、マップ想像の楽しみが増えた

他にも拠点でアイテムを作成できるといった要素もあるが、私が考えたマップでラスボスを撃破することに成功したため、そのあたりは適当にやってしまった。
すべてのクラスでの攻略やカード縛りなど、クリア後でもやり込みの余地はありそうだった。

感想まとめ

本作だが、私の中では斬新なゲームルールだったと思う。主人公を操作せず、周りの環境を構築し観察するという変わったもので、グラフィックや単調なBGMについては好みが別れそうなものの、体験価値は十二分にある作品だと思う。
ただ、あまり見ないゲーム性のため、この記事にあるテキストや画像を見てもさっぱりわからないかもしれない。私の実力不足によるものがかなり大きいとは思うが、

クリアした感想だが、またこのゲームをするかと言われるとやれると思う。ローグライクな要素で、遠征では主人公のレベルは初めから、装備品はなしで始まるので、レベルは上がるわ、装備品はサクサク手にはいるわで、冒険序盤のRPG感を手軽に楽しめる。
ループを重ねるごとに次々と強力な装備へ入れ替えていくため、短時間でRPG序盤から終盤までやった感もあり、人によるかもしれないが、私はこれがかなり癖になりハマった。

マップへの施設や地形の配置も、初めは適当にやっていたが、主人公のクラスの特徴や、遠征での主人公のステタース値の変化に目を配り、自分なりの正解を導き出していく過程は非常に楽しかった。ボスを倒せた際には、主人公のために環境整備できて良かった!と完全に主人公を飼っている感覚にも襲われた。このような体験から個人的には主人公への感情移入はあまりなかった。

好き嫌いはかなり別れそうな作品だが、変わったゲーム性と、癖になるサクサク進むRPG感を体験したい方へはおすすめしたい。

-★3 並もしくは特徴あり, ゲームレビュー
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