個人的評価 | |
クリア状況 | 1周クリア(エンディングの分岐は不明) |
プレイ時間 | 6時間 |
発売日 | 2024年5月10日 |
対応機種 | Steam、PlayStation 5、 PlayStation 4、 Microsoft Windows、 Xbox Series X/S |
プレイ機種 | Steam,PlayStation 5,Xbox Series X|S,Nintendo Switch |
開発元 | SFB Games |
発売元 | SFB Games |
個人的ジャンル | サバイバルホラー × ミステリー × レトロポリゴン |
ゲームの特徴
『Crow Country』は、ひと気のない遊園地を舞台にした、レトロスタイルのサバイバルホラーアドベンチャー。
グラフィックはあえてPS1時代を彷彿とさせるポリゴン調で統一されており、その“粗さ”が逆に不気味さや懐かしさを引き立てているのが本作の最大の魅力です。
プレイヤーは調査員となり、閉鎖された遊園地を一人で探索。資料や日記を拾い集めながら、何が起きたのかを少しずつ解き明かしていきます。
奇をてらった演出や高難易度バトルはなく、謎解きと探索を丁寧に積み重ねる静かなホラー。それでいて、断片的に語られる事件や登場人物の背景が、強烈な“知りたい欲”をかき立ててくれます。
レトロホラーが好きな方はもちろん、
ガッツリ怖いのは苦手だけど不気味な世界観は楽しみたい──
そんな人にもおすすめできる一本です。
おすすめポイント | こんな人は苦手かも。。 |
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目次
静寂と不気味さが支配する“もうひとつの遊園地”
誰もいない遊園地の静けさが怖さに変わる
本作『Crow Country』の舞台は、かつて賑わっていたが現在は閉鎖された遊園地。
本来であれば子どもたちの笑い声が響いていたはずの場所に、今はカラスの鳴き声と足音だけが響く──そんな静けさが、不気味さへと変わっていく。
グラフィックは、あえてPS1時代のポリゴン風スタイルが採用されており、現代的なリアルさではなく“粗さ”を活かしたホラー演出が特徴。
懐かしさを感じる一方で、その粗さが「はっきり見えない不安」を強調し、プレイヤーに独特の緊張感を与える。
遊園地の中には様々なアトラクションや出店などが散らばっており、まるで時が止まったような雰囲気。
楽しいはずの空間に“誰もいない”という違和感が常に付きまとい、探索中のプレイヤーをじわじわと追い詰めてくる。


姿を見せない「クロウ」の存在と断片的な物語
本作では、初めから物語が明確に語られることはない。
プレイヤーは探索中に拾い集める日記や資料、短い会話や環境描写といった“断片”から、少しずつ遊園地にまつわる出来事の全貌を探っていくことになる。
この断片的な語り口が、まるで自分が推理して物語を再構成していくような感覚を生み出しており、プレイヤーの想像力に深く訴えかけてくる。
「何がきっかけでこの場所は閉鎖されたのか?」
「ここにいた人々は、どこへ行ってしまったのか?」
「語られなかったあの行動の裏に、何があったのか?」
こうした問いに対する明確な“答え”は用意されていないことが多い、逆にその曖昧さと余白が、本作の大きな魅力。
誰かの言葉に矛盾を感じたり、資料の日付に違和感を覚えたりしたとき、
「もしかして、あのキャラは…?」と考察が生まれる。
そのたびに物語が、プレイヤー自身の中で形になっていく感覚を味わえる。
ストーリーを“読む”のではなく、“見つけて、自分で繋げていく”。
本作の世界観が奥深く感じられるのは、このプレイ体験のあり方そのものが、探索ホラーというジャンルと見事に噛み合っているからかもしれない。


静寂を彩る環境音と、世界に溶け込む演出
『Crow Country』では、基本的にBGMはほとんど使われていない。
その代わりに、足音、風、カラスの鳴き声、施設のきしむ音など、環境音がゲーム全体を包んでいる。
この静寂こそが、本作の最大の“演出”とも言える。
何もないようで、どこかに誰かがいるような感覚。
誰もいない空間を歩いているはずなのに、どこからか視線を感じるような錯覚。
そうした音と間の演出によって、プレイヤーは常に緊張を強いられることになる。
レトロなグラフィックと静寂を活かしたホラー演出は、“音の怖さ”と“空気の重さ”で勝負している。

探索と謎解き、最低限の戦闘で進んでいくサバイバル
謎解きと探索がメイン、テンポは崩れない
このゲームの基本は、探索と謎解き。
閉鎖された遊園地を歩き回りながら、カギを探し、番号を入力し、道を切り開いていく。
やってること自体は、昔ながらのサバイバルホラーの王道って感じ。
特別に難しい仕掛けはないけど、「もしかして、あのとき見た番号か?」ってピンとくる瞬間の気持ちよさはちゃんとある。
テンポも崩れないし、“謎解きに引っかかって止まる”ことが少ないのが好印象。
謎の構造も親しみやすく、次にどこへ行くべきか迷うことも少ない。
複雑に見えて、進むべきルートが丁寧に整理されているから、“雰囲気を味わいながら進める”作りになってる。


戦闘は控えめ。銃とちょっとした工夫で切り抜ける
武器は、いわゆるサバイバルホラーに出てくる定番ラインナップ。
銃の照準は方向をざっくり向けて撃つのではなく、ちゃんと狙って撃つタイプで、最初は少し慣れが必要。ただ、操作感そのものはレトロ風に見えてかなり快適。
敵の数はそこまで多くないけど、出てくるときはちゃんと怖い。
ゾンビのような、モンスターのような、正体のつかみにくい敵たちが、あいまいな形で現れるのがまた不気味さを引き立てている。
戦闘の存在感はあくまで控えめで、探索や物語の流れを妨げないようバランスよく配置されている感じ。
弾や回復アイテムに関しては、基本的には困らない設計。
自販機やゴミ箱を漁ればある程度は補えるようになっていて、序盤~中盤はスムーズ。
ただし後半は弾がやや心もとなくなってきて、「そろそろ温存したいな」と感じるくらいの軽い緊張感が出てくる。
“ギリギリにはならないけど、気は抜けない”くらいの絶妙なバランス感。
全体としては、戦闘で詰まらせるよりも、物語に集中してもらうための“控えめサバイバルという調整がされている印象。



繰り返し遊ぶことで、見えなかったものが浮かび上がる
集めた断片と、隠された要素がつながりだす
探索中に手に入る日記や資料の数々は、どれも短くて淡々としている。
でも、そこに書かれた日付や出来事、登場人物の反応を並べていくと、少しずつ断片がつながっていく感覚がある。
1周では見逃していた内容や、「あれ?これ、あの記録と矛盾してないか?」という細かい違和感が、あとから効いてくるのが面白い。
さらに、2週目前半で見つけたのが壊せるカラスのガラスのような隠しアイテム。
普通に進めていたら見逃しそうな場所に配置されていて、コレクション的な要素として機能していた。
「これ、あと何個あるんだろう?」と気になって、探索のモチベーションにもつながる。
はっきりと報酬があるかは不明。2週目以降でのやり込み要素であるとは思う。

周回で開かれる道と、変化を感じさせる仕掛け
1周クリア後には、ボーナスアイテムが使えるようになる周回プレイが解放される。
特定の装備やお助け系のアイテムが追加されていて、1周目とは違うプレイスタイルを試すことができる。
また、ハードモードのような難易度設定も確認済み。実際にプレイはしていないが、弾薬の供給や敵の挙動が変わっている可能性もある。
物語重視で遊んだ1周目と、リソース管理が問われる2周目──そんな切り替えもアリだと感じた。
さらに気になったのが、登場人物の反応や行動に“選択次第で変化しそうな含み”があったこと。
一度助けたあの人は、本当に助けられていたのか?
あの選択肢は、違う結果に繋がったんじゃないか?
確かなことは言えない。でも、そう思わせる演出が仕込まれていたことで、「もう一回やって確かめたい」という気持ちが自然に湧いてくる。
がっつりしたやり込みゲーではないけれど、この“じわっと心に残る違和感”が、再び遊びたくなる一番の理由かもしれない。
そして、懐かしきサバイバルホラーゲームのド定番な作りで個人的に刺さった要素だ!


感想まとめ
派手な展開や恐怖演出があるわけじゃないのに、プレイ後にはしっかりと何かが残っている──
『Crow Country』は、そういうゲームだった。
探索して、資料を拾って、誰もいない遊園地を歩き続ける中で、見えない何かをずっと追いかけていたような感覚。
そして、それが何だったのかを、クリアした今でもまだ言いきれない。
だからこそ、もう一度確かめたくなる。
「怖さ」よりも「気になる」が勝ってくるタイプの作品で、
それがこのゲームの静かで奥深い魅力につながってる気がする。
レトロホラーが好きな人にはもちろん、ミステリーや考察系のストーリーが好きな人にも刺さると思う。
サクッと遊べるボリュームながら、心のどこかにずっと引っかかってくる。
そういう作品に出会える機会って、案外少ない。
だから、気になったなら一度踏み込んでみてほしい。
静けさと余白の中に、思いのほか深いものが詰まってるはず。